SAMEDI 11 AOUT 2001 

 

【クラシカ・サンセバスチャン実況】

ワールドカップ第7戦のクラシカ・サンセバスチャンが行われている。スペインのバスク地方サンセバスチャンからスタートしゴールする228キロのこのレースの見どころは、ゴール36キロ手前にあるカテゴリー1級のハイスキベル峠。昨年の覇者デッケル(オランダ、ラボバンク)や、L・ジャラベール(フランス、CSCティスカリ)が有力候補にあげられている。ツールでマイヨジョーヌを獲得したアームストロング(アメリカ、USポスタル)や総合2位のウルリッヒ(ドイツ、ドイツテレコム)は出場していない。

スペインの天気は快晴。

現在、ゴール52キロ手前(ベルギーのフラマン語のテレビ中継はもっと先なので、生ではないようです)。集団から、コネクニー(ポーランド、ドモ)のアタックで、ブラー(フランス、フェスティナ)などがついて行き、5選手の先頭グループが形成される。ベッティーニ(イタリア、マペイ)とピール(デンマーク、CSCティスカリ)が、集団から飛び出し、先頭グループを追う。集団では、ファッサボルトロが先頭をひいており、ワールドカップの総合トップのジャージを着たデッケルもこの集団にいる。いつの間にか、先頭はベッティーニとピールの2人。集団との差は25秒で、ラボバンクが集団をひき始めた。ゴールまであと40キロ。これから、上りに突入だ。(16時50分現在)

平均勾配5、73%の8キロの上りが続くハイスキベル峠に入った。おお〜!デッケーが上りに入ったところで、パンクだ!先頭はベッティーニのみ。集団からベッリ(イタリア、ファッサボルトロ)がアタックした。先頭のベッティーニにベッリが追いついた。その頃集団では、ジャラベールが先頭に姿を見せ、カーブで加速。集団と差を徐々に離す。ツール・ド・フランスで山岳賞を取っただけあって、ノリノリだ。絶好調のジャラベールは、あっという間に先頭に追いついた。ジャラベールについてきた選手を含め、先頭はカサグランデ(イタリア、ファッサボルトロ)、レベリン(イタリア、リキガス)など8人だ。バゲ(ベルギー、ロト)、バルトリ(イタリア、マペイ)などが遅れをとり、先頭は4選手のみ。カサグランデがトップをひいて、レベリン、ジャラベール、ベッリが続く。有力選手が揃った。後でバルトリが加速するが、先頭はまだ遠い。カサグランデが、ずっと引き頂上を通過。バルトリなどは、47秒遅れで通過し、そのすぐ後に51秒遅れで集団が通過した。これから、下りでどうなるか?(17時10分現在)

下りに入ったとたん、先頭はカサグランデからジャラベールに変った。この下りで集団との差は54秒に開く。どう考えても、ファッサボルトロのカサグランデとベッリが有利だ。しかし、ジャラベールもレベリンも今はそれどころでない。とりあえず、集団に追いつかれないように、順調に先頭交代をしながら進む。後続にはガルゼッリ、バルトリなどマペイ勢が攻めてきている。集団と先頭とは1分2秒差。去年とコースが少し変り、最後にカテゴリー3級のぼりがある。2.8キロ、平均勾配5%の上りに入った。ここで、アタックが見られるのか?(17時25分現在)

上りに入ると、カサグランデがまたまた先頭だ。集団から、オドリオゾラ(スペインi.バネスト.com)がアタックし、ガルゼッリがついていく。先頭の4選手は、何事もなく頂上を通過した。残り13キロだ。パスクワル・リョレンテ(スペイン、ケルメ)がガルゼッリに追いついた。カサグランデが、終始先頭を引いている。先頭の4選手は今のところ、快調に走っている。後続の3選手は先頭より53秒遅れだ。先頭は残り7キロ、サンセバスチャンの海岸沿いのコースを走る。後続の3選手は、ゴール7キロ手前で集団に吸収された。レースは、先頭4人と集団との戦い。4人は逃げ切れるか?残り5キロ、どうなる?(17時40分現在)

先頭4人と集団との差は1分近くある。残り4キロ。ファッサボルトロの2選手がどう動くか?3キロに入ると、カサグランデが加速し、一番後にいたベッリがすかさず左からアタック!この動きに気づいたジャラベールがベッリについていく。今度は、カサグランデがアタック。そして、ジャラベールもアタックをかけた。しかし、3選手はすぐに追いつく。またベッリがアタック。今度はレベリンがついていく。ジャラベール、カサグランデは少し反応が遅れるが、ほどなく追いつく。ひっきりなしに続く、アタック攻撃。少しも気が抜けない。2キロ手前になると、牽制しあい、互いの攻撃は冷戦となる。しかし、1キロのフラムルージュを越えると、4人の戦いは再開された。ベッリがアタックし、ジャラベールがピッタリつく。カサグランデは一番うしろで、不気味な存在だ。先頭のベッリが、何度かうしろの様子を覗う。カサグランデが来るのだろうか?ジャラベールもうしろを見る。ゴール直線に入って、ジャラベールがアタック!!両横から、カサグランデ、レベリンが追い詰め3人並ぶ。そして、真ん中のジャラベールが両手を上げてゴールした。

ワールドカップの総合成績は、219ポイントでデッケルがトップ。

  結果  
1. L・ジャラベール(フランス、CSCティスカリ) 5時間17分54秒
2. F・カサグランデ(イタリア、ファッサボルトロ) 同タイム
3. D・レベリン(イタリア、リキガス) 同タイム
4. W・ベッリ(イタリア、ファッサボルトロ) 同タイム
5. S・バゲ(ベルギー、ロト) 25秒遅れ

 

【千穂のちょっとした話】
すごい、すごいレースでした。私が今まで見たレースの中でも、ベスト5に入るくらい感動したレースです。このレースのすばらしさが、うまく伝えられないのが本当に残念です。残り3キロからの全く息の抜けないアタック合戦。とてもパソコンなんて打つコトができず、テレビに釘づけでした。ファッサボルトロのカサグランデとベッリをものともせず、優勝したジャラベール。彼は、本当のチャンピョンです。
ツール・ド・フランスや、ステージレースしか放映されない日本ですが、ワンデーレースのワールドカップもぜひいろんな人に見てもらいたいです。今日のレースは、何がなんでもテレビで見ないと面白くないし、テレビで見たらみんな感動するに違いない劇的なレースでした。


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